来週、内科入院中の高度慢性下肢虚血(CLTI)患者に対して、大腿切断術を行います。
大腿切断術についてまとめてみました。
・大腿切断術
CLTIにおいて大腿切断の目的は究明である
全身状態の悪い症例が多いため、術後に断端の縫合不全や感染を生じて再手術にならないように術後管理に注意する。
術後ADLのためにも下肢の虚血範囲を確認し、できるだけ大腿部を長く残す。
CLTIの患者に大腿切断術を選択する場合は
①壊死性筋膜炎やガス壊疽など足部の感染が急激に拡大することにより全身状態が悪化し、救命のために必要と判断されたとき
②下肢動脈の閉塞により足部の壊死が徐々に進行している場合で、膝下以下への血行再建術の適応がないと判断されたとき
③長期にわたり足部の感染や潰瘍が治癒せず、下肢の虚血性疼痛が強いとき
術前より輸血や低アルブミン血症に対して補正を行う必要がある。
術中の貧血や術後の切断端の浮腫を予防するため、透析患者の場合は術前から透析時に輸血やアルブミンの投与を行います。
仰臥位で行う。
CLTIは下肢動脈の動脈硬化による虚血があるため、基本的にターニケットは使用しない
術後、床上や車いすでの生活を送るときに切断した縫合部が荷重面にかからないようにします
術前に切断予定部の皮膚還流圧(skin perfection pressure)を測定し、縫合部の治癒を期待するには40mmHg以上の部位で切断することが望ましいです。
皮切のデザインはフィッシュマウス状にし、前方と後方の皮弁はほぼ同じ大きさにします。なだらかな弧を描くようにし大腿側面に切り込みすぎないようにします。骨切位置から遠位に5-7cmの位置を皮切部にします。
また虚血がなく皮膚縫合が可能な部位で、大腿骨ができるだけ長く残るようにした方が術後、車いすで座位が安定したり、自分で寝返りができたり、大腿義足を作成しやすくなります
皮膚に対して静直に切開します。
浅大腿動脈や大腿動静脈は動脈と静脈はなるべく分け、1本ずつ切断側より近位を絹糸で2回、遠位を1回結紮し、切断する。
大腿骨周囲から筋肉に覆われる長さまで骨膜を剥離し、皮切より5-7cmまで近位でボーンソーで切断します。大腿切断面の皮質骨が皮下に突出しないように皮質骨を斜めに切断し、骨ヤスリでなめらかにします。
術後血腫を予防するため、大腿骨前面と筋層内に吸引ドレーンをそれぞれ1本留置します。
皮下組織を埋没縫合し、ナイロン糸で皮膚がめくれないように縫合します。
術後は切断端の浮腫や腫脹を予防するため、ギプス固定によるrigid dressingが理想であるが、創部を観察できるようにsoft dressingを行うことが多いです。
術後はなるべく股関節を伸展位に保ち、股関節の屈曲拘縮を予防します。
切断下にクッションをいれ、長時間にわたり、股関節を屈曲させないように注意する。